Adobe Summit 2017 レポート #5 [マイクロソフトとのパートナーシップとdevice co-opのその後]

2017.04.20
株式会社アイ・エム・ジェイ

  • ※本記事は、会場で英語で発表された内容を元に筆者がまとめたものとなります。そのため、現段階で一部誤りがあったり、実際に機能がリリースされた段階で内容が変わっている、日本国内でいつ提供されるのか分からない点があることを、ご了承ください。

前回に引き続き今回は、その他に基調講演で発表された内容と、昨年発表された「Device Co-op」という技術のその後についてレポートします。

Adobe × Microsoftの提携強化

2社の提携自体は、昨年春には既に発表されていましたし、一部はユーザーの目に触れていた内容のものがありましたが、今年のsummitの基調講演では具体的に3点の連係が示されました。

Campaign Orchestration

Adobe CampaignとMicrosoft Dynamics 365のCRMの連係です。前々回の投稿でも書いたStandard Data Modelsに基づいたデータ連係をします。Dynamics 365からはCRMデータが共有され、Adobe Campaignからは行った施策(メールの配信など)の結果などが戻されます。
個別セッションの情報を見る限りは、今のところB2B向けで行われるMAツールとCRMツールの連係のようなことができるように思われます。

Web Experience Foundation

Adobe Experience ManagerをMicrosoft Azure上での動作のサポートです。
これまでも自社の物理サーバーだけでなく、様々なクラウドサービス上で導入/動作はしてきたはずですが、クラウドサービスベンダー自身がサポートするのはこれまでに無かったケースですし、Azureにはホスティング以外のさまざまなサービスがありますので、それらとの触の敷居も低くなります。

Powerful Data Insights

Power BIのリリース当初からAdobe Analyticsの標準的なデータを連係するコンテンツパック(特定の目的にフォーカスした連係コネクタ)は存在していましたが、新たに2つのコンテンツパックが増えています。

無料から始められる(有償版も非常に安い)という手軽さがあるものの、ダッシュボードやビジュアルに優れたBIツールの市場ではPower BIは比較的後発の上、更に最近競争が激化しています。今後どう展開していくのか気になりますが、私個人としては、連係を発展して現在レポーティングでよく使われるAdobe Report Builder(エクセルアドオン)並の自由さと細かさでPower BIやOnline版のExcelから直接データの取り出しができるようになるといいなと思っています。
6月には、シアトルでマイクロソフトの関連イベントがあるので期待したいところです。

Device Co-op

基調講演内ではないですが、昨年発表された、従来のデバイスやブラウザ単位の識別からクロスデバイスで本当の人単位で分析やアクションをしていく「Device Co-op」ですが、発表から1年経ち、先行して導入が進む北米でどんな状況なのかを個別のセッションで見てきました。
「Device Co-op」そのものについては、昨年の投稿をまずご覧いただきつつ、少しおさらいになりますが、これまでメールなど一部の施策を除き大概のデジタルマーケティングは、実際にはユーザーに対してといいつつ、cookieなどを使って、デバイス(またはブラウザ)単位で行ってきたわけですが、これを超えてまさしく人ベースでできるようにするというのが「Device Co-op」という仕組みになります。
また1社でやろうとしても、1ユーザーが持つ複数のデバイスをつなぎ合わせるのは限界があるため、Adobe Experience Cloudユーザー企業同士で「Co-op=協同組合」を作ってその中で特定をしていくということなります。

仕組みとして、上の図のようにデスクトップとラップトップを使う1人のユーザーが左の会社(RETAILER.COM)でラップトップを使うユーザーがログインなどしなくても、右のTRAVEL.COM上でラップトップがログインすると、Adobe上に蓄積される共有の識別システムを使ってRETAILER.COM側でもラップトップは同じ人であると識別できるわけです。

もちろん、プライバシーに大きく影響しそうな気もしますが、上記のような情報を収集、蓄積しているわけではありません。恐らくログイン時に得られた情報をかなり厳重に暗号化された形で識別子として管理しているのだと思います。また、セッション内では、ログイン情報だけではなく、IPアドレスなどの情報も類推のための情報として使っているとのことでした。

こうしてDevice Co-opを使うことで、Adobe Experience Cloud内のソリューションでいえば、以下のようなことが享受できます。

  • Target: サイトに初めて訪問した段階で、ログインはしてないが実は既顧客で最初からパーソナライズができる
  • Analytics: デバイス単位ではなく、本来あるべき人単位での分析が可能
  • Audience Manager: DMP上でこれまでアノニマス(匿名)のユーザーだと思われていたユーザーが実は既に既顧客だったことがわかり、セグメントで抽出できるボリュームが増える。
  • Media Optimizer: 広告のリーチでの無駄な出稿が減り、費用対効果があがる

Analyticsの分析ワークスペースでは従来のUUではなく、真の人ベースの指標も使える

デバイスを超えた行動分析やマーケティングチャネル分析もできる

昨年のsummitで突然アナウンスされたDevice Co-opですが、その後、昨年7月には北米での企業ユーザーが利用を開始、既に約8ヶ月で8億2500万のデバイス、2億1200万ユーザーが対象になっているとのことです。(現状は収集についても北米のユーザーのデータのみデバイスをつなぎ合わせており、それ以外の地域の一般ユーザーについては対象外とのことです)

そして、プライバシー問題に対して過敏なユーザーも当然いるので、このような一般ユーザー向けのDevice Co-op専用のサイトも立ち上がっています。サイト上では、ユーザー自身がリンクしているデバイスの情報(その場でオプトアウトも可能)や、仕組みや安全性、参加している企業などの情報をみることができ、Adobeとしてもユーザーの安心のために積極的に情報公開をしていくようです。

サイトへユーザーがアクセスすると自分の識別されているデバイスとオプトアウトが可能

現在導入中、近いうちに導入予定の企業も一覧で表示される

現在北米で約30社の導入企業があるようで思ったより少ないなという気もしていますが、ものがものだけにAdobeとしても企業としても慎重に検討しなければならないからかなと思っていますし、セッション中で出てきた導入要件には、Dynamic Tag Management(タグマネジメント)や訪問者IDサービス(Adobe Experience Cloud自身のユーザー識別基盤)といった技術的な要件に並んでいる、法務とプライバシー(=社内コンプライアンスのクリア)が入っています。いくら北米が比較的このあたりに寛容だといっても社内での調整が必要になってくるのでしょう。

セッション内では既に導入している企業として、北米で複数のCATVチャネルを展開しているScripps Networks Interactiveが紹介されました。CATVといっても海外の場合は、ネット上でさまざまなデバイスで配信展開していますので、Device Co-opの恩恵には預かりやすいと思います。

彼らの利用しているAdobe製品

業務上のマーケティングデータのフローモデル。わずか4人のチーム(+Adobeのコンサルサービス)で業務を回しているとのこと。

彼らの考える、CUSTOMER-BASED MARKETING(本来人ベースのマーケティング)で享受できるもの

Audience Managerでのセグメント作成時に「Current Authenticated profile + Co-op Device Grapth」(ログイン認証している既存会員+Device Co-opの情報)を使ってプロファイルを結合している様子

その結果、これまでより95%多くのデバイスにリーチできるように。

これを使ったマーケティングアクションに対する成果自身は具体的に発表されていませんでしたが、更に導入企業が増えれば、来年のsummitでは、そのあたりの情報も得られるかと思います。

なお、現状では北米だけで、日本ではいつこれが使えるのか?ということですが、昨年の情報より若干遅れており、EMEA(欧州/アフリカ)やAPACでは2018年の想定とのことです。待ち遠しいですね。

さて、こちらのコラム内で5回にわたって掲載してきた、Adobe Summit2017で発表された内容に関するレポートも今回で一旦終了です。イベントを通して感じたこと等のまとめについては、場所を移して弊社のニュースメディア「BACKYARD」にて後日掲載させていただきまます。そちらもご期待くださいませ。

前回: Adobe Summit 2017 レポート #4 [Adobe Experience Cloudを支えるプラットフォーム#2]


筆者

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Marketing & Technology Labs
Solution Architect
松本 亮

IMJではAdobe Marketing Cloudの導入支援を行っております。

Adobe Marketing Cloudは、WebマーケティングのROIを最大化するための、デジタルマーケティング担当者のための総合マーケティングソリューションです。IMJではWebサイトやアプリの計測支援、テスト/検証、コンテンツ・資産管理、オンライン広告の投資最適化、データ統合による顧客セグメント作成の支援などを提供しています。
また、Adobe Marketing Cloudを活用したPDCA運用サービスも提供しています。

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