Adobe Summit 2017 レポート #4 [Adobe Experience Cloudを支えるプラットフォーム#2]

2017.04.18
株式会社アイ・エム・ジェイ

  • ※本記事は、会場で英語で発表された内容を元に筆者がまとめたものとなります。そのため、現段階で一部誤りがあったり、実際に機能がリリースされた段階で内容が変わっている、日本国内でいつ提供されるのか分からない点があることを、ご了承ください。

前回に引き続き、「Adobe Experience Cloud」のプラットフォーム基盤を見ていきます。まず最初に、今回発表された「Adobe Launch」を紹介します。

プラットフォームの構造

Adobe Launchは、これまでAdobeが提供してきたタグマネージメントツールDTM(Dynamic Tag Management)の後継です。これ自身は、Adobe I/Oを担う技術というわけではないですが、標榜するOpen EcoSystemでさまざまなフロントエンドでデータを統合する上では重要な役割を持ちます。

DTM自身は、元々Adobeのパートナーである、Search Discoveryのツールを買収したものをベースにしており、ソリューション間を繋ぐコアサービスのうち「Activation」グループに属しています。summit前に新バージョンがでることは予告されていましたが、正直名前まで変えてくるとは思いませんでした。ただし発表内容を見ると、DTMの機能やフローなど最低限は引き継ぎつつも、前回紹介したプラットフォームの3つのポリシーに沿って、内部的には完全に作り直しをして、単純なトラッキングをするためのタグ以外のコードもまとめて管理する方向性のようなので納得です。

特徴としては以下の点があげられます。

API First

これまでは、基本的にログインしてUI上で操作して、タグルールの登録、開発環境から本番環境へデプロイ(公開)までをしてきましたが、これらのほとんどの操作をAPIとして開放して、外部と連携してUIがなくとも大概の操作が出来るようになります。
これらのAPIはAdobe I/Oの標準化されたAPI群の一部として提供されるようになっており、開発者サイドも使いやすいものになります。

これまでUI上で操作するタグマネジメントツールを使っていくと、大規模になればなるほど、以下のような問題が発生していました。

  • 複数の管理サイトがある場合、全社的に新しくタグを追加したり、大幅な変更をする場合手間もかかるし、手作業でその分ミスが発生する。
  • 権限設定の柔軟性もなく、責任の切り分けも難しく、1つのUI上で複数の関係者が入り乱れて作業することになり作業に関係ないタグを書き換えてしまったり、誤って必要ないものまでデプロイしてしまう。(特に自社内で管理せず、複数のベンダーや代理店が関わってくる日本でよく見られる傾向です)

このような問題に対して、APIを使うことで解決できます。また、連係が進めば、今まで新しいタグを追加する場合、ツールの管理画面上からコピーして、タグマネジメントツールUI上に貼り付けるといったこともなくなり、ツール上のボタンを押せば、すぐさまタグマネジメントツール側に登録されているということも可能になるかと思います。

APIを経由して、タグを管理するための新しいプロパティ(箱)を作成して、タグルールを次々とAPIを経由して登録していくデモ

Extension

これまでのDTMは、Adobeのソリューション及びほんの一部のソリューションはカタログ化されており、ウィザード型でセットアップが可能でしたが、大半は手動/自己責任で登録、管理をしなければならず、正直ハードルが高いものでした。今回Extensionという機構をつくり、スマートフォンにおける、ストアとアプリの関係のように、パートナー企業のソリューションもカタログ化できるようになります。

カタログのサンプルを見ると、今や大概のサイトで使われているであろうFaceBookの広告プラットフォーム「pixel」やヒートマップツールである「Clicktale」などに混じり、Webアプリケーションのパフォーマンス監査をする「App Dynamics」のタグがあったり、通常タグというとトラッキングのためのユーザーの目に見えないようなものを管理するイメージがありますが、UI上に表示されるYouTubeのPlayer埋め込み用のコードがあったりします。また、調べた限り何の用途か把握できなかったのですが、Master Cardのタグもカタログ上にあります。

DTMからの移行についても考えられており、カタログの中に現行のDTMがあり、既に登録済のタグルールやデータエレメント(中間変数的なもの)も、そのまま流用できます。

Usability+Speed

UI上でさまざまなタグを追加したり、デプロイしていく点についても改善されます。複雑な条件を作成したり、開発環境から本番へ移行するときに、わかりやすいUIが提供されますし、ありがちなデプロイ漏れでエラーが発生するリスクに対しては、複数のルールやそれに関連するデータエレメント、設定をグルーピングして管理できるライブラリ機能も追加されます。

Audit

登録したタグが想定どおりのページで想定どおりの動作をしているのか調べる、更にそれを継続して監視していくということは非常に手間がかかる作業ですが、Adobeのパートナーである、Observe Pointが提供しているマーケティングタグ監査サービスの機能が一部組み込まれるようです。(別途有償なのか一部無償なのかは現在把握できていません)

このAdobe Launchですが、発表では特に追加料金なしに使えるとのことです。また、今年の夏頃には一般ベータテストが始まるとのことでした。

Adobe I/O

Adobe I/Oという概念自身を一言で説明するのはなかなか難しいのですが、統合されたAPI群でもあり、開発者用のポータルサイトでもあります。私自身は、一種のPaaS(Platform as a Service)のようなものだと捉えています。

これ自身は昨年のSummitで発表されていました。その段階で開発者向けポータルサイトも立ち上がり、各種APIをWebUI上で使えるコンソールやドキュメントこそありましたが、それまで個別のソリューションが持っていたAPIもあり、方向性が今ひとつ見えない感がありました。

しかし、今回のプラットフォーム構想で、I/O Runtime(APIをハンドリングするライブラリ)を拡張し、あらゆるAPIを集約するライブラリ)を拡張し、あらゆるAPIを集約し、ユーザー側でAdobe I/Oのサービス上で手軽にデータやコンテンツを内部/外部で結合、連動していく仕組みを作り出すことが、スピード感を持って進めていけるようになる方向性が見えました。

というのも、今回のイベントで新たにWebhook(Webコールバック、HTTPプッシュなどとも呼ばれる)ベースの「I/O Events」という新しい仕組みやCreative Cloud側と連係するための新しいAPIが提供されることにより、ただデータを一方的に送る、受け取るといった形から、相互にイベント発生をトリガーにして、やり取りをするような新しいアプリケーションを作れるような体制ができあがってくるからです。

Creative CloudではSDKとして素材を一覧表示したり、編集するためのUIコンポーネントも提供され、独自のアプリケーションを構築する際の負荷も軽減されます。

自社の管理下だけでなく、クリエイティブ素材販売をする「Adobe Stock」やフォントサービス「Typekit」へもAPI接続ができます。

Document Cloudでは、HTML素材からPDFを生成したり、逆にPDFからHTMLを生成するAPIもあります。

Marketing Cloudでは、Adobe Campaign上にあるユーザープロファイルのコントロール、Adobe TargetでターゲティングやABテスト自身の作成からクリエイティブの配信まで一通りのことがAPIを通じてできます。昨年発表された、画像素材に対して自動的にタグ付けを行う「AEM Smart Content」もあります。

本記事で触れた「Adobe Launch」も初めからAdobe I/Oを経由してほぼ全ての操作がAPI化されます。

まだ開発中、ベータのものですが、将来的にその他のソリューションについてもAdobe I/OにAPIが集約されていきます。

これらを利用して読み込んだ元画像を画像に対して自動的にタグ付けし、更にそこから似た画像を自社の画像素材から探し出すようなデモアプリケーション。画像の下に自動的に検出されたタグとその精度が表示されています。

APIを利用していく上でのマネジメント機能も強化され、利用状況などを把握するレポート画面などわかりやすいものがついてきます。

発表された今後のロードマップでは、大半が旧来のAPIのままのAnalyticsやAPI提供されていないソリューションへの対応、アプリ環境向けのSDKの提供や開発用のデバッガーなどが示され、今後の拡充が期待できます。

Adobe Eventsの一部は、既にベータユーザーの募集がサイト上で始まっていますが、summit内のハンズオンラボ(実際に操作する形のセミナー)では、先取りして新しいAdobe I/Oを触ってみるようなものもありました。

この例では、スピーカー型の音声アシスタントデバイス「Amazon Echo」へ対して、ユーザーが「今日のPV数は?」と音声で命令、 それに対してAdobe Analytics Skill(Echoにおけるアプリやプラグインのようなもの)を組み込んであるEcho内の音声認識機能Alexa(iOSにおけるSiriと同等のもの)がその音声命令を理解しテキスト化、更にその内容をI/O Runtimeを経由してAnalyticsのReport APIからデータを取り出し、最終的には音声でユーザーにレポート結果を返します。

こういうものを見ると、これまでの契約した機能にWeb UIからアクセスしてクラウドサービス利用するというSaaS型のものから自身のための機能を作るためのプラットフォームを利用するという形へと大きく変わってくんだなと感じます。

次回は、その他の基調講演で発表された内容や、昨年発表されて、今後のデジタルマーケティング手法へ大きな影響がでそうな「device co-op」のその後について触れていきます。

前回: Adobe Summit 2017 レポート #3 [Adobe Experience Cloudを支えるプラットフォーム#1]

次回: Adobe Summit 2017 レポート #5 [マイクロソフトとのパートナーシップとdevice co-opのその後]


筆者

画像ALTを入力してください


Marketing & Technology Labs
Solution Architect
松本 亮

IMJではAdobe Marketing Cloudの導入支援を行っております。

Adobe Marketing Cloudは、WebマーケティングのROIを最大化するための、デジタルマーケティング担当者のための総合マーケティングソリューションです。IMJではWebサイトやアプリの計測支援、テスト/検証、コンテンツ・資産管理、オンライン広告の投資最適化、データ統合による顧客セグメント作成の支援などを提供しています。
また、Adobe Marketing Cloudを活用したPDCA運用サービスも提供しています。

本件に関するお問い合わせ

本件に関するご相談やご質問など、こちらからお問い合わせください。

株式会社アイ・エム・ジェイ

アカウント統括本部 マーケティング&セールス部

TEL:03-6415-4268 E-mail:sl-info@imjp.co.jp

このページの先頭へ