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NPSで測る 企業と顧客とのコミュニケーション

[ IMJ REPORT / COLUMN ]2012年10月01日

NPSをご存知ですか?

IMJには、クライアント企業からマーケティングに関する様々な相談が寄せられます。相談内容は企業ごとに千差万別ですが、特にここ最近、次のような質的な変化が起きているように感じます。

(今まで)具体的な施策立案 ⇒ (最近)ユーザー・コミュニケーション全体戦略立案

この変化の背景には、スマートフォンの普及率上昇やソーシャルメディアの急速な進展により企業とユーザーとのコミュニケーションが質・量ともに大きく変わってきていることが考えられます。
今まではPCだけを考えていれば良かったけど、スマ―トフォンやタブレットのアクセスも増えてきたし、ソーシャルメディアの活用も考えなきゃいけないし、でも、いったい何をどのように考えていけばよいのか...。企業のWeb施策に関わる担当者から漏れてくる心の声です。

それでは、このような大きな変化の中で、企業が問うべき本質的な問いとはどのようなものでしょうか?
私は次の3つ(全て)が、企業が突き詰めていくべき本質的な問いだと考えています。

  • 企業は顧客(ユーザー)といったいどのような関係を構築していくべきか?
  • 企業は顧客との関係の「質」をどのように測定・評価していくべきか?
  • 企業は顧客との関係の測定結果をどのように改善に活かしていくべきか?

これらの問いに、唯一の解を提示することは不可能に近いのではないでしょうか。様々なビジネス要因(業種や業界、扱う商材、ビジネスモデルなど)によって答えは変わってくるからです。

それでは、もしビジネス要因に依存しないような「答え」があるとしたら知りたいと思いませんか?
『Net Promoter Score : NPS(R)』はその最有力候補の一つに挙げられます。唯一の解ではないかもしれませんが、近似解として大きな可能性を秘めています。

さて、前置きが長くなりましたが、本コラムで目指すことは以下です。

NPSという指標が、企業の本質的な問いに対する答えになり得るのかを検証する

ソーシャルメディアの進展に伴って、顧客との関係性が再注目されるなか、徐々に認知され始めているNPSとは一体どのような指標なのか。それでは、皆さんと一緒にNPSの世界へ最初の一歩を踏み出してみましょう。

NPSとは?

NPSとは、ロイヤルティマーケティングの権威であるフレデリック・ライクヘルド氏が提唱している、顧客との関係性(カスタマーロイヤルティ)を図る指標です。
ここからは、少しばかり堅苦しい説明になりますが、NPSの最も基本的な概念なので少しおつきあいください。

NPSを直訳すると、「ある企業やブランドを、親しい人に薦めたいと思う人の正味の割合」です。いきなりよく分からない説明になりましたが、図1を使って順を追って説明していきます。

『あなたがXXX(企業やブランド名)を友人や同僚にすすめる可能性はどのくらいありますか?』

まず最初に、顧客に対して上記質問を投げかけ、その回答を 0点(おすすめしない)~10点(おすすめする)の11段階で答えてもらいます。10~9点の集団を「推奨者(Promoter)」、8~7点の集団を「中立者(Passive)」、6点~0点の集団を「批判者(Detractor)」と定義します。そして、全体に占める推奨者の割合から批判者の割合を引いた数値がNPSです。

Net Promoter Score(R) 算出方法

えっ、たったこれだけ?そう、これだけです。何のことは無い、オススメしたい人が全体の中で(正味)何割いるか? を算出しているだけなのです。
簡単に測定できるという利点もあって(これだけが理由ではありません。今後詳述します)、NPSは多くのグローバル企業で採用されています(採用企業例は最下部参照)。これは逆に言えば、多くの企業が、顧客との関係性を測定・評価することを経営課題として捉えているということでもあります。

じゃぁ計算方法は何となくわかったけど、その指標の何がスゴイのか? なぜ支持されるのか?ここからは次回以降順番にご紹介していきますが、内容についての予告編だけお伝えしておきます。

今後の内容(予告)

  • NPSの強みと限界
  • NPSと財務指標との関係
  • NPSと顧客満足度との違い
  • 業界別のNPS
  • NPSを導入する具体的手順
  • NPSによる顧客分類
  • NPSを測定する方法

など

なるべく難しい説明は省き、実際の事例や数値結果を見ながらお伝えしていきます。もしNPSに興味を持たれた方は、下記も参考にしてみてください。

おさらい

  • 企業はユーザーとのコミュニケーションを図るための全体的な戦略を求めている
  • そんな中で企業は本質的な問いに対する答えを求められる
  • NPSは本質的な問いの「答え」の有力候補になり得る
  • NPSとは、顧客との関係性の質を測定することが出来る指標である
  • NPSはオススメしたい人の(正味の)割合を算出することで求められる
  • NPSは多くの有名企業で採用されている

NPS採用企業の一例

Air Transportation

  • Southwest Airlines
  • Eos Airlines
  • JetBlue

Healthcare

  • Medtronic
  • Ascension Health
  • Cancer Treatment Centers of America

Retail

  • Apple
  • Zappos
  • Enterprise rent-a-car
  • Home Depot
  • Chick-fil-a
  • Hertz

Media

  • Avid Technology
  • PR Newswire

Industrial Goods & Services

  • GE
  • Franklin Covey
  • Honeywell

Service providers/B2B/Suppliers/Public sector

  • eBay
  • KPMG
  • Four Seasons Hotels
  • Cintas Corp
  • PricewaterhouseCoopers
  • Bearing Point
  • Sodexo

Financial Services

  • American Express
  • HSBC
  • Charles Schwab
  • ING
  • Standard Chartered
  • Vanguard
  • Progressive
  • Lloyds
  • Allianz

Consumer Products

  • Procter & Gamble
  • Lego
  • Grohe

Telecom

  • Verizon
  • Virgin Media
  • Nokia
  • Vodafone

Technology

  • Canon
  • Dell
  • HP
  • Intuit
  • LG Electronics
  • Logitech
  • PHILIPS
  • Sony
  • Symantec

※出典:Bain & Companyより抜粋

IMJ/リサーチャー 清水 準

筆者:IMJ/リサーチャー 清水 準


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